2023年加筆
2022年6月19日に発生した地震で窯が崩壊した「丸和工業」
その後クラウドファンディングなども募り2023年3月に再建。
しかしながら、2023年5月5日に発生した地震で窯のほか、在庫・焼き上げしたばかりの切り出し七輪が合わせて約350個が破損。
早くも復旧に向けて動いているようですが今後の目処は立っていません。
無形民俗文化財である『能登切り出し七輪』の火を絶やさないよう、この記事を読んで一人でも多くの方が『切り出し七輪』に興味を持って頂ければ幸いです。
ここからが本編↓
このカテゴリーの第一弾の内容は
「美味しい秋刀魚や焼き魚が食べたい!」
「今、七輪の購入を検討している!」
「七輪の形状は丸型・角型のどっちを買うか迷っている…」
「中国製の七輪か国産の七輪どっちかな!?」
「備長炭は、国産・ラオス産・ベトナム産?」
「紀州備長炭・土佐備長炭・日向備長炭・伊豫備長炭の違いって?」
今、こんな風思っている方に読んで頂きたい内容!
もちろん「究極に美味しい真鯛の塩焼きが食べたい!」方も必見です!!
国産切り出し七輪が欲しい
「美味しい天然キノコが食べたい!」
「最高に美味しい秋刀魚が食べたい!」
毎年秋になると必ず、この2つのキーワードが頭の中がぐるんぐるん。
そんな時は、ベランダに置きっ放しのホームセンターで購入した丸型七輪(中国産)を使い、秋刀魚や天然キノコを焼いて秋の味覚を楽しんでいたのですが
秋刀魚は1匹そのまま焼けない…。
少しづつ移動させながら焼く。
これがかなり不便!
今年こそは、さんまが一尾丸まる焼ける角型の七輪を購入するぞ!
と決意しました。
その時に、ほんの一瞬だけ頭によぎったのが安価な中国産の角型七輪!
安価だけど品質がイマイチ…
すぐ割れる可能性もある!
物によっては100%珪藻土じゃないかも…
私も今までは安価な中国製の七輪を使っていたが、本物の国産七輪を使いたい!
という理由で即却下!
次に検討したのが、比較的安価な国産の練り物の角型七輪!
これを購入しようと心はほぼ決まっていたのですが・・・
七輪を調べれば調べるほど、やっぱ七輪は国産最高峰「能登切り出し七輪」しかもサイズは45号
炭も色々あるけど、国産最高峰「紀州備長炭」の組み合わせが、最高に美味しい焼き秋刀魚には必要だな!
と思うようになりました。
なぜなら・・・
中国製七輪と日本製七輪どっちがイイの
七輪の原材料は珪藻土です。
国産の七輪は、珪藻土を粉砕して粘土状にしたものを、型に流し込みプレスして作る「練り物七輪」と
珪藻土を地中から全て手作業で切り出し、ノミを使い成型したものを2昼夜薪窯で焼く「切り出し七輪」があります。
「練り物七輪」は、「切り出し七輪」に比べて安価で購入できますが、耐久性は「切り出し七輪」より劣ります。
「切り出し七輪」は、「練り物七輪」に比べて高価になりますが、遠赤外線効果もより高く耐久性にも優れています。
七輪の形状は大きく分けて、丸型と角型の2種類があります。
「切り出し七輪」にも丸型と角型がありますが、珪藻土を成型する繰り抜き工程で、丸型は機械で繰り抜いた後に手作業で成型。
一方、角型(長方形)は、機械で繰り抜くことが不可能な為、職人がノミを使い繰り抜き~成型まで全て手作業で行います。
その為、「角型切り出し七輪」は「丸型切り出し七輪」と比べて高価となりますが、実際に「切り出し七輪」ができる工程を動画で見ると「こんなにも大変な作業なのに意外に安いな」と印象が変わりました。
切り出し七輪の製造工程動画!
中国製の七輪は、珪藻土を粉砕して粘土状にしたものに、他の粘土やオガクズを混ぜて練り合わせて、型に流し込みプレスして作る「練り物七輪」が一般的!
耐久性も無く多くの中国製七輪が、数回程度の使い捨て感覚!
説明書には、1年で要交換として販売されていたりします。
実際にアマゾンのレビューでも、どの中国製七輪も数回程度の使用で割れましたと数多く目にします。
※例外的に品質管理も行き届き、珪藻土100%の七輪で長持ちする中国製七輪も存在。
また作られる工場によっても製品のバラつきがありますし、中国から船で届くため到着時には割れている七輪をそのまま検品せず販売しているケースもあります。
断熱性能、遠赤外線効果は言うまでもなく圧倒的に国産七輪の方が高くなります。
しかしながら中国製七輪最大のメリットは、何と言っても国産七輪に比べると安価で購入できる点!
私自身もホームセンターで、中国製七輪が何となく目にとまり購入して使っていましたが、あくまでも七輪に少しだけ興味があるとかビギナー入門モデルとして考えた方が良さそうです。
※最後までこの記事を読んで頂くと「中国製七輪を買う理由なんて一つもない」と思うようになると思います。
すぐ壊れるのはまだイイとしても、食材を焼く器の七輪の素材がもし珪藻土+汚染された土壌の土とかを混ぜて練り合わせていたらと考えるとかなり怖い…。
そんなことは無いと思いますが…
100%無いと言い切れるかどうかは…
こんな考えから私は、国産七輪を購入しようと決めました!
国産七輪は三河七輪と能登七輪しか存在しない
かつて七輪は「愛知県碧南市(三河地方)」「石川県珠洲市・和倉市(能登地方)」「香川県」で製造されていましたが、近代化に伴う需要の減少にともない廃業が相次ぎ現在では、愛知県碧南市で3社・石川県石川和倉で1社・石川県珠洲市で4社に減少しています。
国内で七輪を製造している製陶所一覧
日本国内で七輪を製造している全ての会社は
「愛知県碧南市(三河地方)」の「杉松製陶」・「株式会社キンカ」・「合資会社亀島製陶所」の3社
※この中で三河黒七輪を製造しているのは「杉松製陶」の1社のみ
「石川県珠洲市(能登地方)」の「能登燃焼器工業株式会社」・「丸和工業」・「能登ダイヤ工業株式会社」「株式会社鍵主工業」の4社
「石川県和倉市(能登地方)」の「イソライト工業株式化支社」の1社となります。
この中で切り出し七輪を製造しているのは「能登燃焼器工業株式会社」・「丸和工業」・「能登ダイヤ工業株式会社」の3社となります。
杉松製陶
2023年加筆 杉松製陶さんは廃業されました。七輪の製作は引継ぎ業者によって行われますが、まだ生産の準備が整っていない状態みたいです。
住所 愛知県碧南市住吉町4丁目62番地
電話 0566-41-2833
HP 杉松製陶
杉松製陶では日本で唯一「黒七輪」を製作されています。
杉浦和徳さんが手作業で作られている「三河黒七輪」は、中側は能登半島の珪藻土を使い外側は三州瓦土の2重構造。
月間生産数は500~600個。
丸型七輪は比較的安価に購入でき、見た目もスタイリッシュ!
七輪の上部(焼口)に上置を載せれば秋刀魚も1匹焼けます。
しかし私が欲しいのは長方形型!
この形になると少しだけ高いかな~との印象。
株式会社キンカ
HP 株式会社キンカ
株式会社キンカでは、練り物七輪を製作されています。
そのため角型七輪も安価で購入できます。
角型七輪は、練り物七輪の上に茶色の鉄板を貼り合せたものになります。
値段がお手頃なので、この商品を購入しようかと悩みましたが最終的に「能登切り出し七輪」を私は購入しました。
亀島製陶所
亀島製陶所では、練り物七輪の上に黒色の鉄板を貼り合せた角型七輪を製造されています。
住所 愛知県碧南市篭田町4丁目55番地
電話 0566-41-1551
HP なし
角型七輪の他にも各種コンロを製作されているようですが、他の商品はまったく不明でした。
愛知県内を中心に販売されているのかも知れません。
能登燃焼器工業株式会社
住所 石川県珠洲市上戸町寺社26-2
電話 0768-82-0569
HP 能登燃焼器工業
昭和初期から珠洲市で七輪を製造している能登燃焼器工業株式会社。
昔ながらの製法で丸型・角型の切り出し七輪を製作しています。
七輪の職人の道下久一昔さん他、総勢8名で七輪や珪藻土工業製品を作っています。
また社長である舟場和夫さんは、現役で最も長いキャリアの珪藻土の切り出し職人です。
能登燃焼器工業と能登ダイヤ工業の商品の違いは、七輪本体にメーカー名が入っていないので難しいのですが、角型七輪は中央に仕切りがあり火力調整を左右で行えるもが、能登燃焼器工業の製品となります。
丸型の七輪は形状で判断するのが難しいですが、販売されているラインナップの違いとサイズの違いで判断します。
丸和工業
住所 石川県珠洲市正院町平床立野26
電話 0768-82-5313
HP 丸和工業
メディアにも沢山取り上げられている丸和工業。
昔ながらの製法で丸型・角型の切り出し七輪を製作しています。
丸和工業の七輪には、丸型、角型とも中央部分に丸和工業のプレートを打っています。
丸和工業の七輪は在庫を比較的もありますし、在庫が無い場合でも注文してから到着までの期間が早いのでいち早く手に入れたい方にはオススメ!
伝説の七輪職人!脇田又次作と銘打って販売されている七輪がありますが、脇田又次さんは先代の方になり現在は後継者の方を中心に製作されています。
能登ダイヤ工業株式会社
住所 石川県珠洲市三崎町雲津ム37
電話 0768-82-6711
HP 能登ダイヤ工業株式会社
設立は昭和48年、総勢14名で飛騨こんろや七輪を製作している能登ダイヤ工業。
昔ながらの製法で丸型・角型の切り出し七輪を製作しています。
能登燃焼器工業と能登ダイヤ工業の商品の違いは、七輪本体にメーカー名が入っていないので難しいのですが、角型七輪は中央に仕切りがなく長い備長炭などもフラットで置けるものが、能登ダイヤ工業株式会社の製品となります。
↑この商品を私は購入しました♪
能登ダイヤ工業の角型七輪(長方形型)には、私が購入した幅45cm・奥行26cm・高さ22cmの他に特大サイズ「幅55cm・奥行26cm・高さ23cm」
と小サイズ「幅31cm・奥行18cm・高さ16.5cm」があります。
購入の決め手になったのはポイントは
国産の練り物と切り出し七輪では、遠赤外線効果や耐久性が断然違います。
多少の雨なら強度も落ちませんし、大事に使えば切り出し七輪は一生物!
私の中では美味しいと思っている秋刀魚は、2年物の全長35cm前後。
久しくこのサイズの秋刀魚に出会っていませんが、いつかこのサイズの秋刀魚を七輪で焼いて食べたい!
※余談ですが秋刀魚の寿命は1年~2年。多くの秋刀魚は0~1年で漁獲されるか、自然死しますがごく稀に2年育つ秋刀魚がいます。
近年スーパーで見かけるサイズは1年物の30cm前後で、25cm以下の秋刀魚は0歳です。
七輪本舗の焼鳥秋刀魚七輪も購入検討しましたが、この商品は「外寸 幅38cm・奥行20cm 焼き面 幅33cm・奥行15cm」(丸和工業製作)で、いつか出会うであろう全長35cmの秋刀魚は焼き面から少しはみ出るので最終的には却下。
もちろん実際には全長35cmの秋刀魚を焼く機会は少ないだろうけど、通常サイズの30cm前後の秋刀魚も幅45cmの角型七輪の方が焼きやすいサイズだと感じましたし、4人~6人が集まるBBQにも小さくも大きくもなく使いやすいサイズだと思いました。
能登燃焼器工業と丸和工業の幅45cm切り出し七輪には、炭を入れる中央部分に仕切りがあります。
少人数で使うときや、左強加力・右弱火力など使い分けるのに便利ですが…
私には必要ない!
むしろ仕切りは邪魔だと感じるので、無いタイプの角型七輪を探してました。
切り出し七輪を製作している3社の同サイズの角型七輪を比較すると、一番能登ダイヤ工業が一番安い!
能登ダイヤ工業の直接自社サイトで購入しようかと思いましたが、↑商品リンク先の楽天せとものや 紀イ十(きいと)の方が送料無料!と10%オフ!
自社サイトで購入するより3,000円程度安かったので楽天で注文しました。
※切り出し七輪のこのサイズは需要があり慢性的に品薄状態ですが、特に秋刀魚シーズンの10月頃になると品薄が続くようです。
私は10月10日に注文し到着したのが11月8日。
到着までに29日掛りました。
※この期間中自社サイトでも出荷準備中でしたが、若干自社サイトで注文した方が到着は早いかもしれません。
私は、どうしても中の仕切りの無い能登ダイヤ工業製切り出し七輪 45号が欲しかったので、時間が掛かるのも楽しみの一つと思い到着を待ちました。
株式会社鍵主工業
住所 石川県珠洲市蛸島町1-2-146-1
電話番号 0768-82-0780
HP 株式会社鍵主工業
切り出し七輪の製作は行わず練り物七輪を製作している株式会社鍵主工業。
珪藻土ピザ窯や、ポーラスセラミックスの貼りあわせコンロも製作されています。
また「七輪の里 珪藻土資料館」も運営されています。
丸型のシンプルな七輪は非常に安価で、中国製と比べてもそんなに高くない印象。
1000度で焼成した珪藻土レンガで作られているポーラスセラミックス炭火コンロは、かなりオシャレなのでグランピングに興味のある方やスマートにBBQを楽しみたい方にオススメ!
イソライト工業株式会社
住所 石川県七尾市石崎町ヨ1(北陸営業所)
電話 0767-62-4622
HP イソライト工業株式会社
昭和2年創業のイソライト工業株式会社の本社は大阪にあります。
現在は事業を拡大され一部上場企業。
切り出し七輪の製作は行わず練り物七輪を製作しています。
「イソライト珪藻土記念館」も運営。
丸型七輪のイソライトこんろは、業務用として焼肉店や居酒屋で使用されています。
しかも非常に安価で、中国製七輪と比べても価格差はほぼ無し!
この価格で国産の七輪が手に入ることに驚き!
この七輪知らなかった~!
今までホームセンターで購入した中国製七輪を、使っていた自分が恥ずかしい…。
よ~く考えてみると、日本には世界に誇れる唯一無二のBBQコンロ「七輪」が手軽にこんなにも安く購入できるのに、それでも中国製七輪を購入するメリットってあります!?
雨ざらし野ざらしお構いなし!タフに使いたい方にもオススメです。
なお角型七輪の製造は行っていないようです。
能登ダイヤ工業 珪藻土切り出し七輪 45号レビュー
待ちに待った「能登ダイヤ工業 珪藻土切り出し七輪」が我が家に到着♪
どの角度から見ても素晴らしい!
上からも
下からも
いや~。
これは!芸術品だな!
この七輪で焼いたらどんなチープな食材も、美味しくなっちゃいそうです♪
実際のサイズを計測!
外寸 幅45cm・奥行26.2cm・高さ22.5cm
焼き面 幅37.7cm・奥行19.2cm・内寸高さ9.8cm(火皿を入れた状態)
秋刀魚や焼き魚を焼くメインでこのサイズの七輪を購入しましたが、本格的な焼き鳥を焼くのにも最も適したサイズ!
備長炭を使った焼き鳥店もありますが、多く店舗ではオガ備長炭を使っていますし、少しこだわったお店の大半も中国かラオス産の備長炭!
切り出し七輪+紀州備長炭の組み合わせで焼き鳥を焼いたら、少々串打ちがヘタだろうとお店以上の味になるのは間違いない!
こんな理由も、七輪と備長炭を購入した理由の一つです。
焼き鳥を焼く際には鉄久が必要となりますが、この七輪のサイズにカットされた鉄久の販売はありません。
そこで鉄球は、四角棒鋼を好みの長さにカットしてくれる「横山テクノ」で購入しました。
注文した内容は、鉄製磨き棒「材質SS400材」サイズ12mmを長さ450mmに指定して2本。
価格は1,020円+送料1,040円=2,060円
すこし長めにして操作性をよくしようかと考えましたが、七輪のジャストサイズにしました。
焼き鳥だけを焼くのなら炭も半分の量(約500g)で済みます。
最後に、七輪内部の塗装をトーチバーナーで焼いていきます。
使用したトーチバーナー!
この作業を行うことで、塗装の嫌な臭いが食品につくことを防ぎます。
これで七輪を使う準備が整いました。
あとは七輪内部を軽く拭いておきます。